2015-01-01から1年間の記事一覧

『クローバーフィールド HAKAISHA』08 マット・リーブス

『ゴジラ』をなぞったのではなく、空襲のトラウマが『ゴジラ』を生み出したその製作過程を、911のトラウマを使ってなぞっている。 セオリー通りに主人公がたまたま発見した怪獣の弱点や武器で勝利するのかと思いきや、ほとんどアンチクライマックスで軍の怪…

『ゴーン・ガール』14 デヴィット・フィンチャー

『大統領の陰謀』76 アラン・ジェイ・パクラ

クライマックスと思われた報道が、そもそも権力の策謀によって仕組まれたガセネタで主人公たちが立つ瀬をなくすアンチクライマックスへ。ゴードン・ウィリスの撮影の単純さと闊達さと、それと相反する陰影を活かした画面を違和感なくつなぐ手法。会話の背後…

『ヤンヤン 夏の思い出』00 楊徳昌

そっけない画作りで充実しているから演出力は凄いんだけれど、断片を繋ぎあわせているだけで、その断片の個々は結局大した面白さはない。面白みのなさを韜晦によって深く思わせているだけじゃないかい。久々に見るとエドワード・ヤンって大した作家じゃない…

『シティ・オブ・ゴッド』02 フェルナンド・メイレレス

誰がどこで話題にしたかもはっきり覚えている。紹介されてから見るまで12年(笑)。俺こういうの多いなあ… 2本続けてスラム街もので、がさつなガキばかりの故郷を思い出す。

『スラムドッグ&ミリオネア』08 ダニー・ボイル

主人公が戦う相手は「貧困」で、比喩的にいえば「戦っている」のだが実際は「耐えている」。クイズでの成功は何かの成果ではなく偶然、耐えた結果の幸運でしかない。 求めて勝ち取りにいかない主人公は、映画にとって弱い。 構成は面白くて、後半いい意味で…

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』08 ポール・トーマス・アンダーソン

これが20世紀。

『ノー・ランド』07 コーエン兄弟

これぞという逸品。コーエン兄弟はキッチュ感が好きになれなったけれど、成熟してよくなった。 ちょうど07年ごろ自分で構想していた作品に展開や一部シーン設定が似ているので驚く。

『スカーフェイス』82 ブライアン・デ・パルマ

見かけの激しさの割に間延びしてみえるのは、ゴダールによる「画面の外に何もない」というデ・パルマ評が的を射ている部分もあれば、シーン内での説話的な情報の制御が微妙にゆるいというせいもある。 マシンガンの快感原則はすでに現代人の中に刷り込まれて…

『バーニー/みんなが愛した殺人者』11 リチャード・リンクレイター

ドロドロしたテイストを予測し、ライトコメディタッチの前半が始まっても転調を期待し続けたのだが、最後まで軽く終わる。優れた演技や的確な演出は悪くないし、それだからこそ最後まで見続けたのだが、見終えて小さな後悔。

『CUT』11 アミール・ナデリ

芸術家のナルシズム。

『ライク・サムワン・イン・ラブ』12 アッバス・キアロスタミ

「一杯のコーヒーから(コーヒーを発端にして)映画は作れる」というジャン・ルノアールの言葉は素直に頷こうとして、どこかでそんな適当に作った物語が本当に面白いものか?と反発も覚えてしまう。 しかしこの映画を見ればやはり正しい。是枝裕和の映画がと…

『ゾディアック』07 デビット・フィンチャー

フィンチャーって作家性があるような無いような。 『ソーシャル・ネットワーク』と比較してみると、作品内事実の不確定性が現実の不確定性に似ていて、そこにリアリティを見ている。

『クヒオ大佐』09 吉田大八

『アウトレイジビヨンド』12 北野武

演出で工夫しているようだが、ケレン味を目指しているのかリアリティを目指しているのか、バランスが崩れている。 工夫の割に単調なのか、それと単調が分かっているから工夫するのか。この単調さは叙事的な感触を狙っているのだろうが、ヤクザ映画との相性は…

『空気人形』09 是枝裕和

観念が託されているらしいが、その観念が分からない。わかったところで、それがあまり重要なものとも思えない。人々や街の点景を音楽で説明する、抽象的な情緒の不快感。

『Stand By Me ドラえもん』14 山崎貴・八木竜一

ドラえもん原作漫画初期を総集するプロット。 子供の依存心を満足させるファンタジーに最後まで乗れず。のび太にまるで感情移入も出来ずにいて気付いたが、のび太ってハリウッド式脚本術でいう「ヒーローズ・ジャーニー」をしない主人公なんだね。それゆえ成…

『クラッシュ』04 ポール・ハギス

悪い意味で脚本家の撮った映画。プロットもドラマもあれど映画がない。

『誰も知らない』03 是枝裕和

なぜ是枝裕和がダメで、しかしなぜこれが世間に受けているのかと考えながら見ている。 全般にそれなりに良く出来たネタを曖昧な情緒の映像と音とでダメにしている印象。その曖昧さが斬新さに思えるんだろうが、何本か見たら飽きるでしょ?そう思わないのは余…

『白いリボン』09 ミヒャエル・ハネケ

ハネケ作品は『ファニー・ゲーム』から2本目。オーストリアの古き良き田園風景の中に暮らす、すぐそこに近づいた巨悪=世界大戦を知らない村人たちが、名士から子供に至るまでいかに悪徳にまみれているか。『三丁目の夕日』のような「良い昔」を見ていると…

『ネゴシエイター』97

交渉人というネタに惹かれて見始めたが、掴みの事件を見たら知的・心理的に事件を解決するのではなく単に口が立って優秀に悪を退治するだけで、プライベートの三枚目ぶりも含めてエディ・マーフィのレパートリーの範囲内の役柄。大学出たてのエリート新人を…

『ボディ・ダブル』84 ブライアン・デ・パルマ

ネットで見ると真面目にヒッチコックにオマージュを捧げようとしていると解釈している評が上がってきたんだが、パロディのお遊びでちょっとエロ入れて気楽に撮ろう、辻褄はそこそこで良い、じゃないの? 主人公が追っかけている隣の家の美女は知り合ったばか…

『もらとりあむタマ子』13 山本敦弘

四畳半系かと前半で見るのを止めかけたけれど、「モラトリアム」を鬱屈ではなく充実した停滞としてとらえた作品の意図が過不足なく気持よく、最後まで見た。『リンダリンダ』はどこかギクシャクしていたけれど山本監督洗練されてきたなあ。 ラストのワンカッ…

『ゼロ・ダーク・サーティー』12 キャサリン・ビグロー

『アルゴ』もそうだったが、現代史映画(現代実録映画)が「考えさせる」で終わって、映画としてあるいは物語として「どこか」につれていってくれない場合がある。『ハート・ロッカー』良かったけれど。 実話にこだわり過ぎるせいか展開がいくぶん単調でスジ…

『ハムレット』48 ローレンス・オリヴィエ

舞台出身のオリヴィエ、意外にも長回しでのカメラ内編集がうまい。考えようによっては舞台の演出とは視線の誘導でもあるから、切れ目なく視線の向かうポイントを提示していくことは得意なのかもしれない。

『そして父になる』13 是枝裕和

前半スリリング。しかし子供を交換してから、エリートの父は庶民派の父の味わいにあっさり図式的に膝を屈する。そこから両夫婦が「産みの子」より「育ての子」を選ぶことはどう繋がるのかが疑問。(とくに庶民派夫婦が産みの子を手放して再度育ての子を選び…

『セブンス・コード』14 黒沢清

現実とわずかに違う別のリアリティの世界を存在させるという、黒沢清作品の一つの系列。 と思わせて実は伏線で、そしてまた別のリアリティへ。

『マッドマックス』79 ジョージ・ミラー

『スウィング・ガールズ』04 矢口史靖

なぜこれがヒットして名声得てるのか、と考えながら見続ける。 あまり面白くないコントを平凡なプロットに添うように並べている。強引だったりありきたりだったり。 部分が前後や全体と響き合わない不快感。

『最上のプロポーズ』13 青山真治