弱さよ、弱さよ

スタッフ兼エキストラ出演。自分はともかくとして、居合わせた数多くの友人知人が現れると、時間が経って見直した時の感慨は深いだろう。出ておいて良かった。
作品として、現場で感じたより遥かにまとまりがあった原因は音楽。


「日本のマスコミは、なぜ液化天然ガス基地が報復テロを受けると、そう決めつけたのだろうか。作戦課のパク・ミョン中尉によるとその理由は次のようなものだった。大半の日本人が、福岡を封鎖した根拠と,高麗遠征軍を攻撃できない口実を探していたからだ。福岡の封鎖を解いたら液化天然ガス基地はテロ攻撃を受けるだろうかという問いを立てるのではなくて、液化天然ガス基地がテロ攻撃を受けるので封鎖はやむを得ないことだ、と自分たちに都合のいい論理を組み立てようとする。十二万人の本体を攻撃すれば本当に液化天然ガス基地はテロ攻撃を受けるのかという問いはいっさいなく、液化天然ガス基地がテロ攻撃を受けるので高麗遠征軍を攻撃することはできない、という論理のすり替えを行うのだ。弱い人間や集団は、差し迫った困難や危機から逃れる口実を探す。口実は何でもいいので、必ず見つかる。パク・ミョン中尉はそう分析をしたあとに,私たちは日本という国の外部にいるからそういったことがよく見えるが、内部にいる者にはなかなかわからない、と付け加えた。」
村上龍『半島を出よ』より)


弱さで見えてくるもの、得るものはあるが、それを得たらさっさと強くなるのがよい。
弱さは懐かしめばよい。