アメリカ合衆国には主権者がいない
「主権の排除
米国憲法はその憲法制定過程で「法の支配」に基づく「立憲主義」を憲法原理としたため、「制限されない権力」の意である「主権」を排除した。日本国憲法の三大原則である「国民主権」を米国憲法が排除したのは憲法制定者はみな「デモクラシーの暴走」に警戒感を持つ保守主義者たちであったからである。米国憲法前文の「We, the people of the United States...」というくだりは国民主権を表すものではなく、各邦が憲法を制定したのではないという邦の主権の剥奪を表す言語表現にすぎない、という解釈をジョン・マーシャルの補佐官であったジョセフ・ストーリーが著している。」
意外と「国民主権」も相対的価値しかない。
いわばアメリカは「法主権」ということになろうか。「法」というと無機物にも思えて主権者としては納得しづらいが、過去から現在までの国民が歴史を通して形成してきた知恵と意志とがその中に含まれると考えると、有機的存在として納得出来る。