『ピンクカット 太く愛して深く愛して』83 森田芳光

20年前に見ているべき映画を初見。
僕が東京に出てビデオを自由に借りたり名画座に行ったりし始めた頃にはもうデビューから数年続いたブームも終息して、森田芳光が時代の最先端という評価は無くなっていた。
家族ゲーム』を見て興奮したし、インタビューでの「天才」と自称するエネルギッシュなトークを聞いて「邦画の桑田佳祐」という褒め言葉に頷いた時期もあったのだが。


ありがちな悩める人間像を描きながらも、予期される深刻さをあっさり回避して明るさを保ち続ける、というこの頃の森田の作劇は時代へのアンチテーゼを含み、今見ても新鮮である。
しかし、意外な軌道の変化球だがバッターボックスからは見極めのつきやすい玉だった。その後の彼のスタンダードな演出への転回を考えても、時代の徒花に終わった感は否めない。
一般的な観客の予測を裏切る展開という意味ではブニュエルの『自由の幻想』にも似ている。今見るとどう感じるか、そちらも見てみたくなった。


ロマンポルノを見るのも久しぶり。
ロマンポルノの女優は造作はAV女優とは比較にならないけれど肌ははるかにきれい。ただ、男まできれいだからフィルムのせいだろう。光も乗っけめにしているし。
ビデオ映像の技術の進歩の割にはメイクの技術は進歩していないようだ。昔に比べると肌のアラが見えるようになっている。