『デジャヴ』06 トニー・スコット

エネミー・オブ・アメリカ』を思えば、トニー・スコットは「偏在するカメラ」というイメージにこだわっていたらしい。
一歩間違えば細部の強引さを感じさせずに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に匹敵する傑作となっただろうが、情感の主軸になる恋愛をするデンゼル・ワシントンが中年なのが、その情感を落ち着いたものにしてしまっている。爆破犯のキャラが類型の内部にとどまっているのもテンションが高まりきらない原因。
主人公は死に、事件解決に至る事情を把握しているのは残された女一人、という設定は好み。