ドキュメンタリー3本

忙しいと日記タイトルが手抜きになります。あしからず。

成田空港建設闘争から離反し「反対派」から「条件派(土地明け渡しの交渉に応じる人々)」に転んだ人々について、「反対派」農民達は多くの分析めいた言葉を重ねる。しかし、それらの言葉は煎じ詰めれば「去るやつは去るもんで、人の世は世知辛い」という意味のぼやきだ。長い、と思う。
その早い晩年に、小川紳介はこの作品を失敗作と語り再編集の機会を伺っていたと言う。被写体の存在が運動の内部に収束してしまいかねない編集を反省してのことではないか。
とはいえ、個々のショットの鈍い輝きは消えていない。
時に、パーンして明らかに狙いを逸れたどアップになってしまうが、そのままカットは続いていく。ズームレンズがまだ手に入らなかったんですかね、キャメラマン田村さん。

農民達は黄金爆弾(肥の糞尿)を手や腰にぶら下げ、身体に塗りたくっているものもいる。「オレなんかこんなんなーんも汚くね!百姓やってたら汚くんね!」と機動隊ににじりよるおばちゃん。
その爆弾を投げ付けて1人が公務執行妨害で逮捕された、と字幕のみで説明される。
そこで気付いたのだが小川プロの映画で学生や農民が防御し抵抗しているシーンはあれど、肉体的に攻撃をしかけている場面は見掛けない。(全て記憶している訳ではないので半ば憶断。)主人公たる農民への感情移入に配慮してカットしていたのだろうか。あるいは証拠物件となる事を恐れて?
時効も過ぎた今その映像を編み込んだ「完全版」を妄想。


プラスで、とあるTVドキュメンタリー畑出身で最近は劇映画で評価の高い監督が10年弱前に撮った、小川紳介を軸にしたドキュメンタリーについての映像ドキュメンタリー。(主宰者の要請により、具体的な作品タイトルと個人名は伏せます。)
日本TV史上名高いドキュメンタリストへのインタビューや、素人TVバラエティがいかに演出されているかの紹介など寄り道はするが、最後に小川の著書の記述と田村正毅のインタビューが結論として示される。思いきり言葉で収束し、それがあたかも「正解」臭く見えてしまう。
映像ドキュメンタリーについての啓蒙的作品としてはありだろうが、さらに(小川作品がそうであったように)内側から作品を揺らし食い破るようなものが見たかった。酷な期待だろうか。