• 『昭和残侠伝 血染めの唐獅子』67
  • 『昭和残侠伝 死んでもらいます』70 ともにマキノ雅弘

『昭和残侠伝』シリーズが進むにつれて、物語の軸はもうお約束なので発展せずに骨組みだけが取り残され、他の部分がぶつ切りのエピソードの組み合わせになっていったと思われる。
表情の変化が微妙だと、人はその奥を見ようとして意識を働かす。つまり興味を湧か「させられる」。ただ、微妙で訳が分からなければやはりダメで、探ると真意が見えてくる、いや見えてきそうな微妙さでなければならない。高倉健の「表情の変わらなさの魅力」について、そんなことを考えた。もともと顔を作るのが苦手なのかもしれないが、誰か(東映の人?)がその魅力に気付いたのではないだろうか。


◯『殺気ゆえ 遠くから呼ぶ声あり 上・下』画/木村直己・作/不動チカラ(狩撫麻礼