『パッション』2004作

F-I2007-06-25

キリスト教映画はどうしても、しょせん俺分かっていないんだよなという疎外感を味わう。外国語を修得しても、ネイティブが微細に感じ取る一語一語のニュアンスまでは分からない、という疎外感と同じ。まあ、そんなことを言い始めると此彼の文化の裏側は突き詰めればお互いに他者な訳で、結局どれだけ頑張っても近似的にしか理解は及ばないという絶望感に辿り着いて、それは生産的ではない。
批判されたらしい残酷描写は、まさにキリストの痛苦を伝えるために選び取られている。そして痛苦は、現代の平和な国々の人間には題材を問わず伝えられるべきものだという気がする。リアルであればある程良い。世界の平和さゆえに痛みへのの想像力が退化している、と、自分に関しても世間に関しても思う。