『ナイン・ソウルズ』03 豊田利晃

リアルな痛みの描写とギミックの配分が上手くいっていない。前者を目指しているはずなのだが、暗さに足を取られまいとしてブレンドしている筈の後者のせいで中途半端になっている。とくに主役の筈の、父殺しから弟殺しに至る引きこもり(松田龍平)があまりに表面的。世界の地獄の向こう側にでる幻想を描こうとしているという点では『オールドボーイ』を思い出した。