徹夜仕事

期末試験を受ける高校1年に付き合って朝3時半まで仕事。
数学を教えている時は、「無の境地」に近づいて一番精神的に安定していると思う。
もちろん、大袈裟に言っているのだが、余計な自意識が無くなるのは確か。
高校時代は論理性も粘り強い思考力も乏しければ、思考法を身につけるのに必要な時間だけ数学に取り組む熱意もなく、赤点も取った科目だったのだから妙なモンだ。


終わってからファミレスへ。


村上龍『半島を出よ』
最初の30ページ程読む。出だしの調子はかなり良い。
ただ、2000年代後半の日米関係を要約するところで「日本はアメリカを仲間だと思っていたのにアメリカは裏切ったのだった。」といった調子で記述が突然日常語に流れるところがあって違和感を覚える。校正段階で訂正意見出なかったのか、それとも普通は気にならない程度なのか。
福岡ドームを選挙した北朝鮮テロリストに対し、少数の人質を犠牲にしても国家全体の安全と威信を守るという現代国家としては当然の決断が出来ない日本政府は、博多湾からの大軍の侵入を防げず、被害を拡大し続ける。国家の宿阿が生み出した危機を救うのは、犯罪者、精神病質者、ホームレス…社会的な抑圧を受けている人間達であった。
…という展開になると予測される。
村上龍は描写とテーマ性において語られることが多いが、実は優れたプロットメーカーである。(エッセイを読むと欧米のスリラーをよく読んでいるらしい。)プロットに穴が無く、常に説得力もある。このスリラーはその先の凄みまで見せてくれるだろうか?


村上龍では、『音楽の海岸』を偏愛している。
出張風俗の元締めをやっている孤高のアウトローが、女の肉体を切り落とす願望を持っている変態男を罠に嵌める話。
あまり知られていないんだよな。