前から2列目に腰掛けていたのにティーチ・インでうとうとする。失礼しました、Mme. ビュル・オジェ。

乞食小屋に寝泊まりしながら武士であった殺された父の仇を追う息子(すでに青年)とその一家の下人(「下郎」と呼ばれる)。
息子が病に倒れ、大道芸で二人の糊口を支える下人がある日雨宿りを提供された家は、まさにその仇である軍学者の妾宅だった。(この偶然は強引といえば強引。)妾は忠義を尽くして主君に仕える下人に心を寄せ始め、そのために下人は間男と疑われて軍学者から手打されそうになる。逃げ惑う中で、下人は相手が実は仇だったと気付き、まったくの弾みで返り打ちにしてしまう。経緯を知らされた息子は、自分の手で仇討ちを果たせなかった怒りで下人を責める。
報復を恐れて旅立つ息子と下人と妾の三人。宿場街で追いついた軍学者の門弟たちから息子に、下人を差し出せと手紙が届く。下人は息子がその手紙を読む場に居合せるのだが、文盲であるがゆえに全く手紙の内容が理解出来ない(!)。息子は、下人への憤りのあまり下人が妾と逢い引きしていたとまで疑い、「下人はご自由に処置されたく」という門弟たちへの返書を下人自身に持たせて(!!)指定された河原へと向かわせる。河原で囲まれた下人は、自分の持ってきた手紙についての門弟の説明が信じられず、殺気に集まった野次馬たちに手紙を読んでくれと頼み、読み聞かされて驚愕する(!!!)。
狂気の怒りに達した下人は、潔さをかなぐり捨てて追っ手と斬り結ぶ。下人の危機を知って河原へ辿り着いた妾も不貞の罪を問われて門弟に斬られる。一人故郷へ帰りかけていた息子が理性を取り戻し、遅れて河原へと駆けつけた時にはすでに下人は息絶えていた。おのれも勝負すると宣言する息子を、家来を見殺しにした武士の恥を相手にするものかと門弟達は罵倒し、騎馬で去っていく。ひとり取り残される息子へ、遠くから響く嘲弄の高笑い。
映画の冒頭で暗示されているのだが、父親が軍学者に殺されたのは、旅の暇潰しでお互いが愛好する囲碁の勝負をしていて、「待った」の回数やどちらが先に「待った」したかの小さな言い争いが発端である。
タルコフスキー、好き」というタイトルのムック本があって、ネラっているのは分かるけどどうなのと思っていたが、「伊藤大輔、大好き」という本もあって良し。